量子線科学専攻博士後期課程1年の工藤直人さんが日本実験力学会2024年度年次講演会にて優秀講演賞を受賞しました

理工学研究科量子線科学専攻博士後期課程1年の工藤直人さん(西研究室所属)が、2024年9月17日、山形大学米沢キャンパスで開催された日本実験力学会2024年年次講演会において、優秀講演賞を受賞しました。この賞は、35歳以下の若手研究者を対象に表彰されるものです。

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工藤直人さん

タイトル

熱物性顕微鏡を用いた基板上樹脂薄膜の熱浸透率測定

概要

近年科学技術の発展により、パワー半導体・パワーデバイスをはじめとする電力・電子機器の分野において小型化・高出力化が加速し、機器内部で発生する熱量は増大の一途を辿っています。そのため、機器の発熱増大を克服すための高伝導性と機器の高電界化に寄与する電気絶縁性を持つことに加え、接触界面で発生する熱抵抗を低減できるような放熱材料の開発を行い、機器内部で発生した熱を効率よく外部に伝達するような熱設計が求められるようになりました。本研究は、スライドガラス基板上に作製された膜厚20~30µmのメソゲンエポキシ樹脂薄膜を試料とし、非接触・非破壊で薄膜の熱物性測定が可能な熱物性顕微鏡という装置を用いて、樹脂の厚さ方向の熱浸透率測定を行うことで、熱設計で重要となる 熱物性値の測定・評価を行うことに成功しました。熱物性顕微鏡は周期加熱法とサーモリフレクタンス法を組み合わせることにより「熱を奪い取る力」を示す熱浸透率という物性値をマイクロスケールで測定することができる装置です。熱浸透率は試料の体積熱容量が既知であれば熱伝導率や熱拡散率を算出することができます。

受賞のコメント

優秀講演賞を受賞できたこと、大変嬉しく思っています。今回は熱物性顕微鏡を用いてスライドガラス基板上のメソゲンエポキシ樹脂薄膜の熱浸透率分布測定を行い、汎用エポキシ樹脂に比べ、膜厚方向に高い伝熱性を有することを確認しました。今後は、得られた熱浸透率のばらつきを小さくするため、樹脂薄膜厚さを均一にした状態で測定すること、高分子特有の不均質な高次構造薄膜に対する解析手法を確立していきたいと思っています。今回の受賞は、指導教員である西 剛史先生や太田弘道先生、そして(株)レゾナック竹澤由高様ほか、研究室の仲間に支えられたおかげです。この受賞を励みに、これからも研究成果を出していきたいと思います。

関連リンク

理工学研究科 量子線科学専攻