理学専攻

趣旨・特色

本専攻には、理学の基盤的かつ体系が確立している学問分野に対応したカリキュラムを提供する5コース(数学・情報数理、宇宙物理学、化学、生物学、地球環境科学)があります。専門分野の深い知識や研究能力のみならず、関連領域、学際領域を含めた幅広い知識や社会の変化に対応できる素養を身に付ける教育と研究を行います。

理工学研究科博士前期課程理学専攻の教育システムについて

理工学研究科における教育システム

理工学研究科では、博士課程を前期2年(博士前期課程)と後期3年(博士後期課程)に区分した教育制度をもって、

1)自然や社会に対する深い洞察力と高度な専門実践能力をもち、自然を探求して知識を体系的に組み立てながら問題を解決・評価することができる人材を育成する

2)世界レベルの学術研究を推進して社会に発信し、自然環境と調和した地域と人間社会の持続的発展に貢献する

ことを目指して教育と研究を行っています。

理学専攻における教育目的

理学専攻での教育は、理学部理学科における学士課程教育からの継続性に基づき、

1) 博士後期課程に進学し、先端的研究の推進を担う人材の育成

あるいは、

2) 基礎科学の専門知識と国際性とを有し、科学技術基盤社会の構築において中心的役割を担う理学専門家の育成

をもって文化・社会の発展、活力ある持続可能な社会を創り上げることを目指しています。

理学専攻における教育体系

理学専攻には、理学の基盤的かつ体系が確立している学問分野に対応したカリキュラムを提供する5コース(数学・情報数理、宇宙物理学、化学、生物学、地球環境科学)があります。各コースが提供するカリキュラムを履修することで社会に通用するための知識・技術を修得することになります。

また、社会に出た後に必ず求められる人文・社会科学分野の話題に関する基礎的理解力(リテラシー)を身につけるための科目が、『大学院共通科目』及び『研究科共通科目』として用意されています。

博士前期課程は、博士後期課程と一体となった『博士課程』のはじめの2年間とも、『修士課程』とも位置づけられます。「博士後期課程への進学を目指すなど、将来、自立した研究者としての能力を有し、様々な分野で活躍しうる素養を身につけさせる」教育プログラム『アカデミックサイエンスマスター(ASM)プログラム』と、「修士課程修了後すぐに、高度専門職業人として産業界で活躍する能力を修得させる」教育プログラム『プロフェッショナルサイエンスマスター(PSM)プログラム』を教育カリキュラムとして設けています。

現在は、「化学コース」と「生物コース」が提供する主たる専攻分野のカリキュラムの中にASMプログラムとPSMプログラムの両方が設定され、他のコースが提供するカリキュラムではASMプログラムのみが提供されています。

ASMプログラムで履修するか、PSMプログラムで履修するかは、入学直後に決定し、在学途中での変更はできません。

理学専攻における5コースについて

数学・情報数理コース

数学またはそれを基にした情報科学についてのきめ細かい研究指導により得られた専門能力を基礎に、コンピュータ関連等の数理的な産業分野や、数学・情報の教員ならびに公務員関係を中心に、様々な分野で活躍できる人材を育成することを目指します。

なお、より高度な研究を行う博士後期課程への進学も期待しています。

宇宙物理学コース

宇宙物理学に関する講義と演習、主体的な研究活動を通して、高度な専門知識と研究技能を修得させ、柔軟な思考で諸課題を科学的に捉えることができる能力、問題の本質を見抜き、成果に導くことができる能力を生かして、自然科学・技術・産業・教育の各分野で活躍できる人材の育成を目指します。

化学コース

化学的素養を背景に、現代社会の基盤となっている化学(医薬品、化粧品、食品、生活物資、材料、環境物質等)が関連する諸問題に対して、課題設定ならびに解決能力に加味して、合目的かつ合理的な発表力を身につけます。

これらを通し、将来を見渡し、企業や社会の運営等に積極的に寄与し、科学技術立国に貢献できる人材の育成を目指します。そして、グローバルスタンダードな生活基盤を提供する上でさらに重要となる化学力により、国際的に貢献できる人材の育成を目指します。学位授与条件にアカデミックサイエンスマスター(ASM)プログラムに加え、プロフェッショナルサイエンスマスター(PSM)プログラムを設けています。

ASMプログラムは、学士課程教育の醸成を推進する「6年一貫教育」の考え方に基づき、修士研究とコースワーク(課程履習)を通して、科学技術立国に貢献できる人材育成を目指し、高度かつ実践的な学識と技術ならびに表現力を修得します。

PSMプログラムでは、企業や社会の中核を担う人材育成を目指し、幅広い学識に裏打ちされた解析力、表現力を修得します。

生物学コース

生物学諸分野にわたる高度な知識を基礎として、人間社会が直面している地球環境、エネルギー、食、医療等における様々な重要課題を解決する能力を有し、日本のみならずアジア地域、全世界におけるこれらの諸課題を、国際的視点にたって解決する意欲と資質を有する人材を育成することを目指しています。

アカデミックサイエンスマスター(ASM)プログラムは、オリジナリティーを持った研究・開発・創造能力の育成をめざし、プロフェッショナルサイエンスマスタープログラム(PSM)は、幅広い専門知識・技術を備えた職業人の育成を目指します。両プログラムとも、英語論文を主とした文献調査の能力や、研究成果のプレゼンテーション技術および報告書作成の技法を修得し、データ処理や統計解析の手法を身につけさせます。これらに加えて、基礎生命科学分野ではDNA、タンパク質、細胞レベルでの生命現象の専門的な知識及び生体分子解析の技術、細胞培養あるいは組織培養技術等を修得します。

また、多様性生物学分野では、個体から生態系レベルまでの分類学、系統学、生態学等に関連する専門的な知識及び環境測定、野外調査法、生物多様性インベントリー、画像解析技術等を修得します。

地球環境科学コース

地球環境問題の本質を洞察し、問題解決に対処し得る人材を養成するためには、地球・惑星・太陽科学の高度な専門知識と科学的実践能力とを培うことが必要不可欠である。地球環境科学コースでは、自然界や人間社会に対する深い洞察力を有し、高度な専門知識、科学的実践能力および総合的判断能力を兼ね備えた人材を養成すること、また、国際的レベルの研究を推進しうる博士後期課程進学者を育成することを目指します。

ASM/PSMプログラムの概要と学位授与条件

アカデミックサイエンスマスター(ASM)プログラム

本プログラムは、コースワークに基づく知識・技術を修得させるとともに、主たる専攻分野における研究活動を通して、将来、自立した研究者もしくは十分な研究能力を有する者として社会で活躍する素養を身につけさせることを目指した教育プログラムです。

各コースで指定するカリキュラムのうち、必修科目を含めた30単位の修得、指導教員の指導のもとで行う研究活動の成果をまとめた修士論文の審査と修士論文研究の内容に関連した最終試験の合格によって学位が授与されます。

プロフェッショナルサイエンスマスター(PSM)プログラム

本プログラムは、課題研究に取り組むことで、高度専門職業人として産業界で活躍する能力を修得させるとともに、国家基盤となる産業界のリーダーにふさわしい社会力を身につけさせる特徴ある教育プログラムです。

大学院での専門科目の講義・演習に加えて、社会力養成のための講義(研究科共通科目:「履修方法等」を参照)と企業や研究所における長期間の学外研修(インターンシップ)を取り入れた「課題特別研究(化学系Ⅰ~Ⅱ、生物系Ⅰ)」などが必修科目となっています。

「課題特別研究(化学系Ⅰ~Ⅳ、生物系Ⅰ~Ⅲ)」の評価は、レポートと報告会での発表に基づき、このレポート作成と発表を通じてコミュニケーション能力や課題解決能力、報告書の作成力等を養います。このため、勤勉な学習態度と、PSMプログラムを通して涵養されることが期待されるコミュニケーション能力や課題解決能力の評価によっては、課程修了後、直ちに産業界で即戦力として活躍できるルートを見いだすチャンスを得ることも可能です。

カリキュラムのうち、必修科目を含めた30単位の修得と、2年間を通して取り組んだ研究テーマについての『研究成果報告書』の審査と最終試験の合格によって、学位が授与されます。

本プログラムでは修士論文は課されません。

ASM/PSMプログラムの選択

数学・情報数理コース、宇宙物理学コース及び地球環境科学コースに所属する学生は、アカデミックサイエンスマスター(ASM)プログラムで履修することになります。

化学コース及び生物学コースに所属する学生は、アカデミックサイエンスマスター(ASM)プログラム、もしくはプロフェッショナルサイエンスマスター(PSM)プログラムを選択して履修することになります。

ASMプログラムを選択するか、PSMプログラムを選択するかは、入学直後に、指導教員となることを予定している教員と相談したうえで、決定してください。

必修科目等、履修条件が違いますので、在学途中でのプログラム変更ができないことに留意してください。

入試情報

募集区分 募集人員
数学 情報数理 宇宙物理学 化学 生物学 地球環境科学
推薦入試 8名 3名 3名 6名 8名
一般入試 4名 3名 3名 3名 4名
特別入試 社会人・外国人留学生 若干名 若干名 若干名 若干名 若干名
大学に3年以上在学者 若干名 若干名 若干名 若干名 若干名
  • 一般入試の募集人員には特別入試の募集人員を含みます。
  • 入試日程・方法や募集要項については、こちらをご覧ください。

教員一覧

数学・情報数理コース

役職氏名1頁紹介専門分野リンク
教授 木村 真琴 icon 微分幾何学 研究室
教授 下村 勝孝 icon 複素解析学、ポテンシャル論  
教授 長谷川 雄央 icon ネットワーク科学 研究室
教授 藤間 昌一 icon 数値解析、計算アルゴリズム  
教授 村重 淳 icon 非線形波動、数値解析 研究室
教授 渡邊 辰矢 icon 数理モデル、数値計算  
准教授 相羽 明 icon 代数的整数論  
准教授 安藤 広 icon 偏微分方程式論  
准教授 入江 博 icon シンプレクティック幾何学  
准教授 大塚 富美子 icon 微分幾何学  
准教授 鈴木 香奈子 icon 偏微分方程式論、非線形現象の解析  
助教 逢澤 正嵩 icon 星・惑星系の観測的研究、データ天文学  
助教 金久保 有輝 icon 量子群の表現論  

宇宙物理学コース

役職氏名1頁紹介専門分野リンク
教授 釣部 通 理論天体形成論、宇宙流体力学  
教授 百瀬 宗武 icon 電波天文学、星・惑星系形成、干渉計技術に関する研究 研究室
教授 吉田 龍生 天体の高エネルギー現象に関する研究  
教授 米倉 覚則 icon 電波天文学、星形成  
准教授 片桐 秀明 icon 宇宙高エネルギーガンマ線の観測による宇宙線の研究 研究室

化学コース

役職氏名1頁紹介専門分野リンク
教授 大橋 朗 icon 液液界面を反応場として利用した合成、分離、検出法の開発 研究室
教授 金 幸夫 icon 時間・空間分解分光法と微小電極を使ったマイクロ分析・化学に関する研究  
准教授 神子島 博隆 icon 金属化合物を用いる新規合成反応の開発  
准教授 島崎 優一 icon 生体関連配位子を用いた金属錯体の合成・反応性に関する研究  

連携大学院方式

役職氏名1頁紹介専門分野リンク
客員教授 竹澤 由高 近赤外光用耐熱性プラスティック光ファイバー、高熱伝導性材料  
客員准教授 松本 和弘 icon 有機合成化学  

生物学コース

役職氏名1頁紹介専門分野リンク
教授 加納 光樹 icon 汽水・淡水魚類の保全生態学 研究室
教授 北出 理 icon シロアリ類と共生微生物の生態学・進化学  
教授 野田 悟子 icon シロアリ類の共生微生物の進化に関する研究 研究室
准教授 及川 真平 icon 植物の生理生態学、地球環境変化への植物の応答 研究室
准教授 鈴木 匠 神経細胞の多様性創出と神経回路の形成機構に関する研究  
准教授 中里 亮治 icon 湖沼の生物群集の多様性と湖沼環境保全に関する研究  
准教授 二橋 美瑞子 icon 昆虫の色素合成の分子基盤、動原体の進化に関する研究  
准教授 諸岡 歩希 icon 社会性昆虫の生態・分類・系統学的研究及び寄生線虫の研究 研究室
助教 小林 優介 葉緑体DNAの遺伝および葉緑体の細胞内共生に関する分子生物学的研究  

連携大学院方式

役職氏名1頁紹介専門分野リンク
客員教授 鈴木 理 細胞増殖因子の機能とその分子基盤に関する研究  

地球環境科学コース

役職氏名1頁紹介専門分野リンク
教授 岡田 誠 古地磁気学、古海洋学、その他堆積物を用いた古環境変動復元に関する研究  
教授 河原 純 icon 固体地球物理学(地震波の伝播と地震動の研究)  
教授 北 和之 icon 大気環境科学(オゾンなど、地球環境に重要な大気物質の研究)、人工衛星等からの地球大気のリモートセンシング  
教授 小荒井 衛 地球表層変動のメカニズム解明と人間環境への影響(災害)  
教授 野澤 恵 icon 太陽観測、シミュレーションを軸に太陽及び天体物理に関する研究  
教授 橋爪 光 icon 惑星科学、宇宙地球化学、アストロバイオロジー  
准教授 長谷川 健 icon 火山学、岩石学、地球化学(特に、地質学および岩石学的手法による、火山の噴火史や深部マグマ系の解明) 研究室
准教授 藤谷 渉 icon 宇宙化学、惑星科学、隕石学(特に隕石の同位体分析による初期太陽系に関する研究) 研究室
准教授 山田 卓司 icon 地震学(特に地震と火山の震源物理学) 研究室
准教授 若月 泰孝 気象・気候学(降水や災害に関連する大気現象の観測・解析・予測)  
講師 山口 直文 icon 堆積学(沿岸域の地形や地層の形成ダイナミクス) 研究室
助教 細井 淳 icon 地質学、構造地質学(背弧拡大テクトニクスの研究)